クリスト&ジャンヌ=クロード
2006-09-18


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BIG TIME ENTERTAINMENTから販売されている「クリスト&ジャンヌ=クロード DVD-BOX(3枚組)」のDisc2を借りてきた。

「アイランズ」(Islands、1986年、57分)
マイアミのビスケー湾に浮かぶ11の島々の周辺を、トータル2,000平方キロメートルのピンクの布で囲んだプロジェクト。
「パリのクリスト」(Christo in Paris、1990年、58分)
パリで一番古い橋ポン・ヌフを梱包するプロジェクト。
*アムステルダム・フィルム・フェスティヴァル大賞受賞
*サンダンス・フィルム・フェスティヴァル最優秀撮影賞受賞
の2つのプロジェクトが紹介されている。

「アート」とは何か?って教えてくれるような映像作品だ。

どちらの作品も、長〜い年月、人々の説得を続け、お金をかけて実現させたプロジェクト。その過程が描かれている、ドキュメンタリー映像。

「完成された」芸術作品というものは、特定の人のもとにあり、美術館でほんの一瞬公開される。これはアートと呼べるのだろうか?

Christoは、作品を作り上げていく過程、これも自分の作品の一部という。 創造される過程を見せ、そこに観客の様々な感情を抱かせ、非日常の感覚を持たせること、それこそがアートと考えているのではないか?その表現手段として、『包む』という手法を見つけたのだろう。

どちらの作品も賛否両論。でも僕はそれは結果だと思う。世の中のあらゆる事に関して僕は正解はないと思うし、賛成・反対はそれぞれの人の中にある価値観でしか判断できない。だから、絶対的な正解の基準は設けようが無い。これでいいんだと思う。これが正解な気がする。

そういう意味で、彼らの試みは、例えばポンヌフ、これを包むことで、パリ市民を動かしたのだ。

多分、誰もがそこにある物として当然のように思い、それ故にそこにあるにも関わらず、意識の中から消えてしまっていたような橋。これを包み、見えなくすることによって、はっきりと橋の存在を意識させる事ができたのではないだろうか?

消すことによってより明確に再認識をする。

現在美術の表現手法なのだろう。彼の作品は、短期間で展示が終わる。そしてそこはまた何もなかったかのように元通りの現実に戻る。

絵画・彫刻・建築物...形として残る芸術作品。これを心に残る作品に仕上げたいのだろう。それには、刹那的なものでなければならない気がする。刹那という贅沢な時間の使い方。人の一生もそうだろう。思い出というものは美化される傾向があると思う。その人の思考を利用して、より一層美くしさは心に残り、その人の心を豊かにしてくれるのではないだろうか?

何故かこの映像を見終わった時に涙がこぼれて来てた...

クリスト&ジャンヌ=クロードの作品は彼らのホームページで公開されているので是非見てください。現在は、「Over The River」というアーカンサス川を包むプロジェクトが進行中。2010年の夏に14日間だけ展示が行われる予定です。
[エンターテイメント]

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